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社会主義国キューバの長距離バスは国
                                            営なので、他社との競争がない。バスの
                                            性能は大丈夫だろうか。長時間乗ったら
                                            どれだけきつい思いをするのだろう。正
                                            直ちょっと怖かったのだが、乗ってみる
                                            と意外なほど快適で、拍子抜けした。外
                                            国人向けのバスだからかもしれない。観
                                            光産業に力を入れているキューバだ。顧
                                            客に満足を与える、その基本姿勢はどう
                        Ωϡʔό ฤ              やら守られているらしい。                    όελʔϛφϧͰԾ຾ͷ༧ఆ͕ɺख़ਭͯ͠͠·ͬͨ               ૣேͷαϯςΟΞΰ
                                             バスはタイヤが外れたりエンジンが爆
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                                            発したりすることもなく、約 900 キロの距          近代的で清潔なバスターミナルだった。              治安は町の空気ににじみ出るものだ。
                  ୈೋͷ౎ࢢͷۭؾ
                                            離を 11時間かけて走り、夜中2時半にサン          イスもおあつらえ向きに人ひとりがぎり              南米のとある国に入ったときは、空気の
                                            ティアゴのバスターミナルに着いた。あた            ぎり横になれるだけの長さで並んでいる。             あまりのとげとげしさに怖気立ち、「シャ
                                            りは真っ暗だ。第二の都市なのに変だな、            24 時間開いているようで、光が煌々と灯っ           レにならんな」と思ったものだが、その
                                            郊外なのかな、と思いつつバスから降り、自           ていた。こりゃ寝れそうにないな、と思っ             2日後に、砂漠で3人組の強盗から拳銃
                            United States   転車と荷物を受け取った。バスは車内に             ていたらあっという間に意識を失い、次              を突き付けられ、殴る蹴るの暴行を受け
                                            残っていた数人を乗せて走り去っていった。 に目が覚めたときは外が明るくなってい                        たあと、身ぐるみはがされたのである。
                                             降りた乗客は次々にタクシーで闇の中             て、ワッと驚いた。自分がどこにいるのか              キューバのサンティアゴも、パッと見
                                   Brazil
                                            へ吸い込まれていき、僕だけがひとりぽ             まったくわからなかったのだ。一拍おい              は恐ろしげだった。道路はひび割れ、野
                    ϋόφ
                                            つんと取り残された。                     て、キューバの地方にいる、とわかったと             良犬が徘徊し、家は壁が崩れて薄汚れ、
                                             キューバは中南米の中でも治安がいい             きは、妙に感じ入ってしまった。子どもっ             檻のような柵で囲われていた。夜だと世
                                            といわれる。しかし夜中、真っ暗闇の中を            ぽい空想だが、日本から4次元のドアを              紀末のような様相になるに違いない。普
                             αϯςΟΞΰɾ        自転車で、丸腰で走る気にはとてもなれな            くぐって一瞬で夢の国にやってきたよう              通ならそういうところは日中も怖いし、実
                               σɾΫʔό
                                            かった。バスターミナルは守衛が常駐し、            な気分になったのだ。ああ、旅だな、と思っ            際、昼夜の関係なく人がいないと危険な
                                 ˔ੴాΏ͏͚͢ɿ
                                 ཱྀߦ࡞Ոɻ̓೥    檻のようなフェンスに囲まれていた。外             た。別世界にいる。世界を自由に浮遊し              のだが、ここは不穏な空気がまったく感
                                 ൒͔͚ͯࣗసं    からは自由に出入りできないのだ。ここ             ている。それにしても俺、熟睡しすぎだ              じられなかった。キューバの治安がいい
                                 ͰੈքҰपΛ׶
                                 ߦɻ̕ສ̑ઍΩ    なら安全だろう。守衛に待合室で寝てい             ろ……。                            というのは本当だな、と思った。
                                 ϩɺ  ϱࠃΛ૸
                                 Γɺ     ೥ ຤  いか聞くと、その若い守衛は上司に相談             自転車を組み立て、走りだすと、しば               ハバナとは町の質も全然違った。いかに
                                 ʹؼࠃɻݱࡏ͸
               શࠃ֤஍Ͱߨԋ΋ߦ͏ɻஶॻʹʰߦ͔ͣʹࢮͶΔ       するでもなく、どうぞ、と彼の判断で許             らくして市街地に入った。早朝で誰もい              も田舎町だった。第二の都市とは思えな
               ͔ʂʱʰ஍ਤΛഁͬͯߦͬͯ΍Εʂʱ΄͔ɻϒϩά΋ߋ    可してくれた。ここで朝まで過ごす旅行             ない。まったく人影がない。でも危険な              いくらいのどかだ。もっとも、その印象が、
               ৽தˠʮੴాΏ͏͚͢ͷΤοηΠଂʯ
                                            者は少なくないのだろう。                   雰囲気は皆無だった。                      あと数時間後には覆されるのだが……。

























































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